経営事項審査(経審)とは、学生時代で例えると成績表のことです。
中学校や高校の時、学期末に成績表をもらっていました。数学が4、英語が5、音楽が3などといったようにそれぞれ学生個人の成績を評価したものが成績表でした。その会社版が経営事項審査を受けると発行される「経営事項審査結果通知書」と呼ばれるものです。
経営事項審査は通称「経審」とも呼ばれています。
では、この経営事項審審査(経審)ですが受けることによってどんないいことがあるのかを紹介させていただきます。
国土交通省:経営事項審査及び総合評定とは
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自社の経営状況を客観的数値で把握できる
経営事項審査はその名のとおり、経営事項の審査を行うものです。経営事項審査(経審)はその会社の売上高や、資産の状況、技術職員の配置状況や、社会への会社としての取り組み状況などの多くの情報をもとに審査がなされます。
そして、経営事項審査(経審)を受けた事業者の経営事項審査結果通知書(成績表)は、公表されています。自社の状況を数値化し、客観的に把握できるとともに、経営事項審査(経審)を受けている競合他社の情報も確認できます。そのため、他社との比較ができ、自社の成長の糧にもできます。
成績表には、先述のように自社の取り組み状況なども評価されるため、他社にはあって自社にないものも容易に比較できるというのも大きなメリットかもしれません。
公共工事を受注することができる
経営事項審査(経審)を受ける最大の目的といっても過言ではございません。経営事項審査(経審)を受けることによって公共工事を請けることができます。
公共工事とは、いわゆる公共団体、自治体が発注する工事のことです。例えると、「○○市役所改築工事」、「△△公民館新築工事」、「県道舗装工事」などです。もちろん、市区町村や都道府県から○○省といったように国からの発注工事もあります。
従来、民間の工事ばかりを請け負ってきた会社にとっては、経営目線からも重要な位置づけかもしれません。民間工事のみの工事実績の会社の場合は、公共工事を受注することによって必然と全体の工事実績数も増え、売る上げ高アップにもつながります。
元請け業者として工事を請けられる
今まで、下請け業者として民間事業者の元請け会社から工事を請けることが多数であったり、元請け工事を請けていきたいとお考えの場合は、ぜひ経営事項審査(経審)を受けて、公共工事を受注していきましょう。
公共工事は、発注者が自治体などの公共機関です。したがって必然的に元請け業者となるわけです。下請け工事ばかりでそろそろ元請け業者の立場で仕事を請けていきたい場合は経営事項審査(経審)を受けていきましょう。
民間工事では、なかなか元請けとして工事が請けれなくとも、経営事項審査(経審)を受けて各自治体での入札に参加することで受注できます。
キャッシュフローも安定する場合がある
民間工事の受注の際に、入金の遅れや、未入金による貸し倒れにあったことはございませんか?公共工事の場合、取引先は、自治体などの公共機関です。つまり、よほどのことがない限り貸し倒れの心配がございません。
また、公共工事の場合、請負金額の3割程度の前受け金をうけることがあります。着工前に前受け金を受けらることから建設業者として資金繰りにも大きく影響があるものです。
これらの他にも、自治体によっては完工を担保に、地域建設業経営強化融資制度と呼ばれる融資も受けられることもあります。
まとめると、貸し倒れのリスクが極めて少なく、前受け金も出て資金繰りにも優位である。一部の自治体ではあるが、融資制度も整っている。建設業者にとっては、公共工事の受注には資金面にもとても有意義なものであると言えます。
他社との差別化が図れる
公共工事を請けるために経営事項審査(経審)を受けるということはそれなりの準備が必要です。通常の建設業許可のような申請手続きとは違って収集するべき書類や情報がかなり多い印象です。ということは経営事項審査(経審)を受けて公共工事の受注をすることは大きなハードルと言っても過言ではありません。つまり公共工事への参入障壁が一定に存在するということです。
一般的に、参入障壁が高ければ競合も減るいう経営的な面においても他社と比べて一歩先の差別化が図れます。
また、公共工事を受注し携わることによって、対外的にも大きな信用にもつながります。公共工事を受注した場合は、ぜひ「○○庁舎の新築に携わりました!」などのように対外的にもどんどんアピールしていくとよいでしょう。
まとめ
これらのように経営事項審査(経審)を受けて公共工事を受注して携わることができることは会社にとって大きなメリットと言えます。
しかし、これだけのメリットもある一方、申請の手続きもかなり煩雑です。経営事項審査(経審)を受けるだけではなく、点数を上げていき、受けられる工事の大きさも大きなものを狙っていくにはそれなりに考えていかねばなりません。
大きなメリットがある反面、制度自体も複雑ですのでそれらの天秤もかけていき自社にとってよりベストな選択ができるとよいと思います。
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