【建設業】建設業許可業者の事業承継(相続)について注意点を解説

事業承継という言葉をご存じでしょうか?事業承継とは、とある会社を他の会社にその事業を売買などにより引き継いでもらうことです。

建設業許可に関わることでよくあるケースでいえば、個人事業主から法人成りした場合や、他の建設業者さんから事業を売買を受けた場合、時には個人事業主の事業主が死亡したことによる相続を理由に事業を引き渡す場合です。

今回は、これらの建設業許可上の「事業承継」の手続きを、通常の許可申請との違いを含めて解説します。

事業承継を行うことのメリット

通常の許可申請とは違って少し手間のかかる手続きですがメリットがあります。

大きなものとして以下の2つあります。

 

申請費用が掛からない

通常の新規許可の場合は、申請費用として90,000円(一般と特定の場合は180,000円)が必ず費用となりますが、事業承継の手続きの場合はこれらが不要です。

経費面においてもかなり都合がよいと思います。

 

営業年数が引継ぐことができる

こちらに関しては、公共工事を請ける場合必要な経営事項審査(経審)に最も関係します。

経営事項審査(経審)における営業年数とは、建設業許可を受けてからの年数のことを言います。承継元の建設業者がこの営業年数が長ければ、承継を受ける側からすれば営業年数の加点が大きく影響します。経営事項審査(経審)をお考えの建設事業者さんの場合は、点数的に大きなメリットとも言えます。

 

 

申請期限の違い

通常の許可申請の場合は、許可を受けようとする際に、書類の準備から始まり申請をし、許可を受けるといった流れになります。しかし、事業承継(相続)の場合は大きな違いがありますのでご注意ください。

 

事業承継(事業の譲渡、合併、分割)

ちなみに、個人事業主からの法人成りの場合ですが個人から法人への「事業の譲渡」の考え方になります。

ここでいう大きな違いは、先述の通常の許可のように、申請してから許可を受けるという流れではありません。これを見逃してしまうと事業承継がそもそもできなくなるので要注意です。

流れとしては、

メモ

1 事業承継の日付や内容を決めておく。

2 建設業許可の管轄行政に対して認可申請をする。

3 要件審査のための書類を集めて期限までに提出する。

といった流れになります。

ここで要注意ですが、1の事業承継の日付が認可される日付より後にならなければなりません

事業承継が終わってしまってからですと、建設業許可上の承継ができなくなります

つまり、建設業許可上の事業承継は事前申請だということに注意しましょう。

 

相続の場合

こちらの場合は、被相続人の死亡後つまり、前経営者がお亡くなりになってから30日以内に手続きを申請し認可を受ける必要があります。

死亡という事象は突如発生しますし、相続人の精神面はもちろん、その他の相続手続きなどもあり案外、この30日がすぐに経過してしまいますので要注意です。

 

 

許可情報は全て承継する原則

建設業許可をいざ承継しようとする際に、従前の許可情報を精査する必要があります。

許可の承継をするには、両会社間で事業の整合性が合っている必要があります。

承継するには必ず、承継する会社の従前の許可情報の全てを承継する必要があります。

 

一部の業種許可のみを承継したい場合

例えば、従前の許可で「建築一式工事」と「内装工事」の許可を受けていて、承継する際には「建築一式工事」のみの許可の承継がしたい場合。

この場合、「建築一式工事」のみの承継にします。といったことはできません

認可申請の前までに、「内装工事」の許可を廃業しておく必要があります。

 

全ての業種許可を承継するが「般/特」の別が違う場合

建設業許可の「一般」と「特定」に関してはコチラをご参照ください。

建設業許可の区分の一般建設業許可と特定建設業許可とは

建設業の許可は、「一般建設業」と「特定建設業」の区分があります。 一般建設業、特定建設業の違いは簡単に説明すると、 元請けとして、下請けに出す工事金額がいくらかということです。 ①工事を元請けとして下 ...

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こちらに関しても同様です。

例えば、従前の許可で特定の「建築一式工事」一般の「内装工事」の許可を受けていて、承継する際には「建築一式工事」のみの許可の承継がしたい場合。

承継を受ける会社がもともと一般の「建築一式工事」と一般の「内装工事」の許可を受けている場合は、これに合わせて従前の許可の特定の「建築一式工事」を廃業して一般の「建築一式工事」の許可に切り替えておく必要があります。

 

 

事業承継を受ける会社の建設業許可要件を満たしていること

もちろんすべての許可情報を受け継ぐことになりますので、常勤役員等(経営業務の管理責任者)や各業種の専任技術者の配置は必須となります。

すでに同じ許可を受けている建設業者間や法人成りの場合であれば特に問題はありませんが、承継することにより新たな許可業種が増える場合などは専任技術者の要件を確認しておく必要があります。

大前提で、従前の許可の有効期限内での手続きが必要です。有効期限ぎりぎりの場合は更新も視野に入れることも必要です。

 

 

まとめ

このように、建設業許可に関する事業承継(相続)はメリットがあります。

しかし、先述のような通常の許可申請とは違う注意点もあります。事業承継を視野に入れている建設業者さんは、必ず事前に準備をしておく必要がありますのでご注意ください。

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