【立入検査】建設業者に対して実施される立ち入り検査とは

建設業における「立入検査」というものをご存じですか?

建設業法第31条では、以下のように規定されています。

(報告及び検査)

第31条 国土交通大臣は、建設業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若しくは工事施工の状況につき、必要な報告を徴し、又は当該職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

つまり、国(国土交通省)又は、都道府県は、建設業者に対して必要な場合には立入検査を行うことができるということです。

わかりやすく考えると、税金の税務調査のようなイメージです。

では、この建設業者に対する立入検査というものはどのようなものかということを説明させていただきます。

立入検査の対象となる建設業者

では、この建設業者に対する立入検査とは、対象となる建設業者はどの範囲のことを言うのでしょうか。

結論から言うと、「すべての建設業者」です。この「すべての」というものは、建設業許可の有無は関係ありません。

つまり、建設業許可を取得したら、建設業者に対する立ち入り検査が入るわけでなく、現に建設業を営んでいれば立入検査の対象となります

立入検査は誰が行うのか

まず、建設業許可とは、2種類存在します。

①大臣許可 複数の都道府県において営業所を設ける建設業者の場合

②知事許可 一つの都道府県のみで営業所を設けて建設業を営む建設業者の場合

この、許可を出す行政庁、専門的には「許可行政庁」と言います。

では、この許可行政庁が立入検査を行うのかというと実は違います。

先述の、建設業法第31条にも記載があるように、都道府県知事はその都道府県内の全ての建設業者

国土交通大臣は、都道府県関係なく全ての建設業者に対して立入検査を行うことができると規定されています。

なので、自社が愛知県知事許可を有する建設業者であっても国からの立入検査が行われる場合もありますし、

許可を持っていない建設業者であっても国からの立入検査を求められる場合があります。

立入検査の際の対象となる内容

立入検査は、元請負人とした請負人との対等な関係の構築及び公正な取引の実現等が主旨として行われます。

では、立入検査となると、どのような内容の報告が求められるのか。

対象事項は「業務、財産、工事施工の状況」です。こちらも先述の建設業法第31条に規定がございます。

そこで対象となる資料はというと、「帳簿書類その他の物件」と規定されています。

帳簿書類とは他には、発注者や下請け業者との工事請負契約書、工程表、会計帳簿等の書類、営業所の実態などです。

立入検査の実施

立入検査の実情は実際のところどのようなものなのかを軽く説明します。

対象となり得る建設業者

対象となり得る建設業者の一例を以下に挙げてみます。

・新規で建設業許可を取得した建設業者

・建設業法上の「申請」、「届出」に疑義を生じた場合

・過去に処分歴や指導歴のある建設業者

・労働基準監督署からの通報があった建設業者

・他者からの通報があった建設業者(「駆け込みホットライン」「都道府県の違反通報窓口」等)

・不正行為を行っているおそれのある建設業者

・下請取引等実施調査等の調査において未回答、不適正回答の多い建設業者

検査の方法

事前に、担当行政庁から連絡が入ります。その後、日程の調整や、事前調査書に提出などの事前の調整が行われます。

国(国土交通省)の職員、都道府県の職員2~4名で行われます。

検査内容は、基本的には、建設業法上の「主たる営業所」にて対面によって2~3時間ほどの検査となります。

事前に通達がなされ、必要書類等の指定があります。これらの検査時に不正等が発覚した際には、処分や指導の対象となります。

場合によっては、営業に直結する処分(許可取消や営業停止)が下されますのでご注意ください。

建設業者の処分事例を把握

立入検査が行われると、何も不正事象が無ければよいのですが、不正事象があれば最終的に処分や指導の対象となります。

同業である建設業者の処分や指導事例を日頃から確認しておくことで自社へのリスクマネジメントにもつながります。

指導事例に関しては公表されておりませんが、処分事例に関しては国土交通省のHPで公表されています。

これらの情報も定期的に確認しておくことで自社の思わぬ法令違反の予防にもつながります。

まとめ

昨今は建設業者のコンプライアンス意識も高まる中、法改正も多々見受けられます。

自社の建設業許可、事業を維持するためにも日頃から法令遵守を心がける必要があります。

許可取消、営業停止等の営業に直結する処分や、将来の許可取得に影響する罰則を受ける場合もあります。

法令遵守には、徹底した建設業法の理解をしていく必要がございます。

不意な立入検査にも動じない社内の仕組みを確立していきましょう。

 

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